加藤内科 内科・リウマチ科    〒500-8389 岐阜県岐阜市本荘2613
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関節リウマチ


 関節をくるむ滑膜に炎症が起き、進行すると関節の破壊に至る関節リウマチ。治療薬の急速な進歩で早期診断、治療の意義は一層高まっているが、炎症の程度を客観的に把握する手段として超音波(エコー)検査は有用である。早期関節リウマチでは、エックス線では滑膜の炎症は分からない場合が多く、骨びらんもとらえられるのは進行してからである。関節リウマチの治療は、免疫を制御する抗リウマチ薬に加え、関節破壊の防止を狙うさまざまな生物学的製剤の普及で飛躍的に向上しており、「治療開始の必要性を判断したり、効果を判定したりするためにも、炎症をできるだけ正確に、客観的に評価する必要がある超音波は、炎症による関節の腫れや関節液の貯留、骨びらんなどは、内臓と同じ「Bモード」と呼ばれる方法で患部の状態をミリ単位で把握。さらに「パワードップラーエコー」という方法を使えば、炎症が強いほど増加する血流を検出できる。「関節液や骨びらんの状態は、コストはかかるが磁気共鳴画像装置(MRI)が非常に有用ではあるが、血流をとらえることができるのは超音波だけの特長である。関節破壊の進行も分かる。
 
補足)超音波検査にてパワードップラーエコー法を用いて炎症を示す血流を検出(滑膜炎病変)することはできるが、滑膜炎をきたす病態は関節リウマチだけではないことから、血流の検出にて関節リウマチの確定診断ができるわけではない。しかし、血流の検出および骨びらんの所見が認められればリウマチ様関節炎の可能性が高いと考えられる。超音波検査にて骨ビランがはっきりしない極めて早期では、関節リウマチの確定診断をするためにはMRI検査が必要である。
 

膠原病

 全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、強皮症、皮膚筋炎および多発性筋炎、結節性多発性動脈周囲炎、関節リウマチの6疾患は古典的膠原病と呼ばれています。現在ではこれらの疾患に加えて、シェーグレン症候群、混合性結合組織病(MCTD)、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、側頭動脈炎、好酸球性筋膜炎、成人スティル病、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ベーチェット病、サルコイドーシスなども膠原病関連疾患に含まれます。膠原病患者の血液中には、自分自身の体の構成成分と反応してしまうリンパ球(自己反応性リンパ球)や抗体(自己抗体)が見つかり、このことが膠原病という病気を引き起こす原因になっていると考えられます。このために膠原病は「自己免疫疾患」とも呼ばれます。したがって、膠原病の治療には病気を引き起こすリンパ球の働きを抑えたり、自己抗体が作られるのを抑えるために、副腎皮質ホルモン(ステロイド薬)や免疫抑制薬が用いられます膠原病は、原因が不明で治療法のない「難病」というイメージが強くもたれていました。
わが国では膠原病とその関連疾患の多くは,厚生労働省によって指定難病(旧名称:特定疾患)に指定され、公費補助対象疾患とされています。しかし、近年の医学の進歩によって、膠原病の生命予後は大きく改善しました。全身性エリテマトーデスでは、ステロイド治療が導入される以前の3年生存率は50%以下でしたが、70年代には5年生存率が75%、80年代は90%、90年代になってからは、95%以上と劇的な改善がみられています。

指定難病について

平成27年1月1日からの難病法の施行の指定難病一覧(リウマチ・膠原病関連のみ記載)
国の定める指定難病に罹患された患者さんに対し、指定難病の治療に係る医療費の全部又は一部を補助することにより、医療の確立、普及を図るとともに、併せて患者家族の医療費の負担軽減に資することを目的とする制度です。
ただし、指定難病と診断されても医療費補助の対象にすべての患者さんが該当するわけではありません。各疾患において「重症度分類」が定められており、重症に該当する場合のみが対象となります。2015年以前から指定難病の認定証をお持ちの方は2015から3年間は軽症(重症と判断されない)であっても医療費補助の対象となりますが、4年目以降の指定難病更新時に軽症と判断された場合は、補助対象から外れることとなるようです。

 

厚生労働省

1:ベーチェット病
2:全身性エリテマトーデス
3:サルコイドーシス
4:強皮症
5:皮膚筋炎及び多発性筋炎
6:特発性血小板減少性紫斑病
7:結節性動脈周囲炎
8:大動脈炎症候群(高安病)
9:ビュルガー病
10:悪性関節リウマチ ※
11:ウェゲナー肉芽腫症
12:混合性結合組織病
13:顕微鏡的多発血管炎
14:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
15:原発性抗リン脂質抗体症候群
16:シェーグレン症候群
17:成人スチィル病
18:再発性多発軟骨炎
 
※関節リウマチに血管炎の病態が加わっている疾患を示しており、関節の変形が強いなど関節リウマチの進行してしまった病態を悪性関節リウマチとは定義していません。