リウマチ・膠原病への使用
当院ではリウマチ・膠原病疾患に対する漢方治療も行っています。しかしながら、漢方薬のみで十分な治療が出来るわけではないことはご理解いただくことが必要です。あくまで、症状の緩和に有用であることが期待される程度になります。
漢方薬の効果発現には少し時間がかかる場合もありますが、通常は内服2週間程度にて継続治療が必要であるかどうかの判断は出来る場合も少なくありません。西洋医学のお薬は苦手だが、漢方薬なら安心できるとの意見もよく聞かれるところです。しかしながら、現実には漢方薬も西洋医学のお薬と同様に副反応はありますので注意は必要です。漢方薬のみにては十分な治療効果は現実的には期待できませんが、西洋医学とうまく組み合わせることにより、よりよい効果を経験する場合も少なからずあります。下記にいくつかの漢方薬をご紹介いたします。
中等症〜重症のものは西洋医学的治療をおこなうべきですが、軽症のものでは漢方薬で治療できるものもあります。疾患に対してではなく症状に合わせて処方します。
十全大補湯
薬は一般的に体力低下、疲労倦怠、貧血症状などに使用されているが、膠原病では全身性エリテマトーデス(SLE)に効果があると言われている。ステロイド薬に併用してステロイド薬の減量を試みる。
大防風湯(ダイボウフウトウ)
このお薬は関節の腫れや痛みに対して効果があると言われており、関節リウマチに用いる。
白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
このお薬はのどの渇きとほてりに対して効果があると言われており、膠原病ではシェーグレン症候群などの乾燥症状に対して使用する。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
このお薬は手足の冷えや痛みに対して効果があると言われており、膠原病ではレイノー現象などの末梢循環障害による手足先のしびれ、冷感、痛みに対して使用する。
柴苓湯
本来浮腫(むくみ)を除去したり下痢、胃腸炎などに使用される漢方であるが、内因性ステロイドを増強することにより抗炎症作用を示すことが文献的にも証明されています。全身性エリテマトーデスを中心にステロイドの減量目的としてこの漢方を併用する。
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
筋肉のけいれんを伴う疼痛に使用される漢方でいわゆる『こむら返り』の際に使用しています。膠原病では多発性筋炎の患者さんの筋肉痛に対してステロイドと併用しながら使用する。
加味逍遙散(カミショウヨウサン)を更年期症状に対して。
桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)
関節リウマチの診断がついていない患者様で、関節痛、神経痛を訴えておられる方に。
麦門冬湯(バクモンドウトウ)
シェーグレン症候群などの乾燥症状に伴う痰の切れが悪い、咳などの気管支炎症状に対して。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
更年期症状に対して使用する。